ベストマリアージュ
ポソッと思ったことが口に出て、しまった!と思ったときにはもう遅かった。


「へぇ、さとしあんたに何にもしてないんだ?」


「あ……の、や、そういうわけじゃ……」


勝ち誇ったような顔で、ベッドの上から私を見下ろしてる。


「あぁ、そっか、だから同情ね?」


「……」


優也に弱みを握られた気分になって、私は何も言えずに唇を噛み締めた。


「てことはあれじゃん

あんた、ただの欲求不満?」


そんなことないって言えないのは、あながち間違ってないからだ。


キスしてほしいって思ったし、勝負下着もつけてきたくらいなんだから。


「否定しないってことは、ほんとなんだ?ククッ」


さっきの優しい声が嘘みたいに、意地悪な声。


この人はいったい私をどうしたいんだろう?


「そんなんで、さとしの気持ち疑うなら別れなよ」


真剣な目、本気だ。


「俺、言ったよね?

さとしのこと狙ってるって」


言いながら近付いてくる優也に圧倒されて、私はその場で固まったまま動けない。


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