ベストマリアージュ
「あれ、本気だから

あんたがちゃんとさとしを捕まえてないなら」


目の前まで来た優也が一気にしゃがんで私の顔を覗きこむ。


「奪うよ?」


怖かった。最初から私の相談になんか乗るつもりなかったんだ。


宣戦布告ともとれる優也の言葉。


私が揺れてることを見抜いて、わざとあんな態度とったのかもしれない。

顎を掴まれてクイッと上を向かされる。


そのまま射るように目を覗きこむ優也から、目が離せなかった。


まるで呪文をかけられたみたいに動けなくて……


気付いたら私は優也にキスされてた。


それは触れたか触れないかわからないくらい軽いものだったけど、ビックリしすぎて抵抗も出来なかった。


我に返ったときにはもう優也は私から離れてて、さっきまでの定位置に座ってる。


「なっ……何するのよ!」


ようやく口からそんな言葉が出たけど、時すでに遅く……


ベッドにあぐらをかいて頬杖をついた優也はニヤニヤしながらこっちを見てた。


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