ベストマリアージュ
「ちょっと待って」


「嫌!触らないで!」


振り払おうと腕を強く引いたけど、こんな綺麗な顔してやっぱり男の人だ。


力は強くて振り払えない。


グイッと腕を引っ張られて、優也は暴れる私を抱き締めた。


もちろん、落ち着かせるためなんだと思う。


さとしよりも低い身長は、胸というより肩に私の顔がくる。


彼のシャツが私の涙で濡れて、肌が透けていた。


「悪い、やり過ぎた」


優也は言って、私が離れないようにグッと腕に力を入れる。


さっきまでとは違う弱々しい声。


「安心しな?さっきのは挨拶みたいなもんだから

俺……ゲイだしさ」


そんなので、さっきのキスがなくなるわけじゃないけど、少しだけホッとしたのは本当だ。


だけど同時にさとしのことが好きだって言うのは本当なんだと複雑だった。


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