ベストマリアージュ
「はぁぁ……」


思いっきりため息が聞こえるんですけど……


これは謝っちゃった方がいい?


だけどよく考えたら、帰れとか言ったさとしだって悪いんじゃない?


「お前さ」


「は……いぃ!」


急に声をかけられて、逆ギレしてた頭の中を覗かれたような気がして声が裏返った。


顔なんか見れない。


「なんで優也の部屋に入ったりすんだよ」


だからそれは、さっき説明したよね?


胸ぐらを掴まれた優也が、ニコニコしながら……


優也んちの玄関で私が固まっていたそのとき、驚いたことに優也は私を庇った。


「エレベーターですれ違ったら泣いてたからさ

さとしと喧嘩したのかなと思って、慰めてただけだよ?」


「余計なことすんじゃねーよ!」


顔がくっつくくらい、すごい形相で睨んでるのに、優也は全く動じることなく、サラッとさとしに説明してる。


「だって、さとしの大事な彼女でしょ?

泣いたまま帰したりして、変なのに絡まれたらどうすんの?」


「だったら!うちに連れてくりゃいいだろ?」


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