ベストマリアージュ
一緒にご飯を食べて、一緒のベッドで眠る。


ベッドを売ってしまってからも、同じ布団で一緒に寄り添って眠った。


だからといって、私を抱くわけじゃない。ただ、一緒に眠るだけ。


こんなに近くにいるのに、彼を遠く感じる瞬間。


だけどそれでも彼の体温や匂いを感じて、安心して眠りにつくことが出来た。


ひどい男だって分かってるのに、嫌いになれない自分がいる。


矛盾してるけど、それが私の本当の気持ち。


けれどそれも今日で終わりだ。


明日になれば、私たちは他人で、それぞれの道を歩いていかなくちゃならない。


彼は彼女と家族になり、新しい道を歩んでいく。


そして私は、これからいつまでひとりぼっちの道を歩いていくんだろう?


ただ黙々と食べるだけの夕食は、あまり美味しいものではないのだと、初めて知った。


お互い何を話すわけでもなく、目の前にある惣菜を胃の中に納めていく。


ようやく食事が終わり、順番にシャワーを浴びた。


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