ベストマリアージュ
そっか、さっき靴を履こうとして、優也に抱きしめられて、さとしが来ちゃったんだった。


それでそのまま引っ張られて来たから、優也んちに置きっぱなし!


「後で俺が取りに行ってくるから、いいから上がれ!」


さとしも靴がないことに気づいて、そう叫ぶ。


そんなに怒鳴らなくてもいいじゃん……


そして今、私はここにいる。


長い沈黙が続いて、ようやく喋ったと思ったら、またさっきの話だ。


「だから、さっき優也くんが説明してくれた通りなんだけど」


面倒臭くなって、つい投げやりな言い方になってしまう。


「それは!わかってんだよ、そんなことは!」


また怒鳴られて、ビクッと体がすくんだ。


だけど納得いかない。


だいたいなんでこんなに怒られなきゃいけないの?


年下のくせに生意気!


「さとしがわけわかんないこと言うからいけないんでしょ?」


ツンと横を向いて反撃に出ると、さとしはバンッとテーブルを叩く。


「わけわかんないことってなんだよ?」


ヤベッ、怒りがマックスになってる。


低い静かな声でそう聞かれて私はテンパった。


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