ベストマリアージュ
「わかんないよ

私はさとしがいいのに、なんでそんなこと聞かれるのか」


瞬間、さとしが目を見開いて、すぐにプイッと横を向いた。


チラッと見えた顔は明らかに赤い。


照れてるのがわかって、疑われた分、もっと虐めたくなる。


「さとしが好きだよ?

ううん、さとしじゃなきゃダメだと思う」


何度も何度もそう言って顔を覗きこもうとするけど、頭をガシッと押さえられてしまった。


それでもまだ言い続けようとしたとき――


「わかった、もういい」


掠れた声でそう言ったさとしが堪らなく可愛くて顔のニヤニヤが止まらない。


そっか、優也の言うとおり、私だけじゃなくさとしも不安だったんだ。


そう思うと嬉しかった。


同時にさとしへの愛しさが増していく。


俺様なくせに照れ屋なとこも、私の気持ちを考えてあえて手を出さないでいてくれたことも……


彼なりの愛情表現だって思うから。


真っ赤な顔を必死で隠すさとしの手を、グイッと掴んであらわにさせる。


驚いたように私を見るさとしに、私はニヤッと不敵な笑みを見せた。


狼狽えるさとしの頬っぺたにチュッとわざと音を立ててキスをする。


面白いくらい固まるさとしに、今度はそっと唇に唇を寄せた。


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