ベストマリアージュ
誕生日に思い出作り?


さとしが?


ぷっ……ウケるんですけど!


「夜景の見えるジュニアスイートだぜ?

ちゃんと考えてたのに台無しだろ?」


なんだか悩んでた自分がバカみたいだ。


まさかこの俺様が、そんなにロマンチストだったとは思いもしなかった。


だって私なんてただのバツイチだよ?


おまけに忘れられなくて大地と無理矢理寝たような女なのに……


それって、初めての女の子にするみたいなプレゼントでしょ?


可笑しいのと嬉しいので涙が溢れる。


「バカなんだから……」


小さく呟いた私にさとしが噛み付いてくる。


「バカとはなんだよ!

聞こえてるぞ!」


涙を手のひらで拭いながらスンッと鼻をすする。


「ありがとう、さとし」


泣き笑いみたいな顔で、私はそう伝えた。


バカみたいなさとしの気遣いが嬉しかった。


大地とのことなんか、なかったことにしろって言われてるみたいで、心強かった。


今はもうさとし以外、誰も見えないってこと。


さとしは気づいてるのかな?


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