ベストマリアージュ
さっきまで馬鹿と言われてふてくされていたさとしは、ありがとうと言った私に満足そうな笑みを見せる。


「だから、まあ、俺に早く抱かれたい気持ちはわかるけど、それまで待ってろよ?」


ソファーに片足を乗せてそこに頬杖をつきながらさとしはニヤリと笑う。


「だっ……そ、そんなんじゃ……」


そんなこと、普通言う?


ほんと俺様なんだから!


「自分からキスしてくるくらいだから、そうなんだろ?

ったく、ほんとはサプライズにするつもりだったのに」


チッと舌打ちをしながら、呆れたようにこっちを見るさとしは、完全に私を欲求不満扱いしてる。


「そ、そんなんじゃないから!

ただ……何にもしてこないから不安になった……というか……」


しどろもどろでそう言えば、さとしはふぅん……と興味なさげに呟いて、おもむろに立ち上がった。


それからゆっくりこちらに近づくと、足を外側に折ってペタリと床に座っていた私の目線まで勢いよくしゃがむ。


「お前さ……」


「な、なによ」


目の前のさとしの顔が、さっきよりも真剣になっていて思わず顔を後ろに引く。


「浮気すんなよ?」


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