ベストマリアージュ
無理って……


確かに時間も時間だしお腹は空いたけど、せっかくの誕生日に一人で食べるとか……寂しすぎる。


「また別の日に食事は埋め合わせすっから、な?」


黙ってしまった私を諭すように、さとしはそう口にする。


仕方なく私は「わかった」と返事をするしかなかった。


切れたままの携帯を握りしめて、また大きな溜め息をつく。


こんなことなら、さとしが休みの日にデートした方が良かったな……


窓の方に視線を移すと、相変わらずキラキラとブルー一色の夜景が広がってる。


だけどその夜景が綺麗であれば綺麗であるほど、私の心は空しくなっていった。


ぼんやりとそのまま観覧車の光を眺めていると、手の中の携帯が震えてハッとした。


さとしかもと急いでディスプレイを開くと、そこには知らない番号が載っていた。


誰だろう?


そう思いながらも、恐る恐る通話ボタンを押してみる。


「もしもし……?」


すると電話の向こうからは、聞き覚えのある声がしてきた。


「あ、珠美ちゃん?オレ」


「は?オレって……」


わかってはいたものの、敢えてそう聞いてみる。


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