ベストマリアージュ
「オレだよ、優也」


やっぱり……


なんの用だろう?しかもこのタイミングで……


「なんで、知ってるんですか?私の番号」


「えぇ、さとしから聞いたに決まってんじゃーん」


悪びれる様子もなく平気で嘘をつく優也に溜め息が出た。


あんなに警戒して、私に会わせるのを嫌がってたさとしが、簡単に番号なんか教えるはずがない。


「嘘ですよね?

まさか、さとしの携帯から勝手に?」


少し怒りを含めた声でそう聞くと、優也はクスクス笑いながら「バレた?」なんて軽く言い放った。


「いや、ほら、さとし今日は珠美ちゃんの誕生日だって言ってたのに、閉店間際の客受けてたから気になってさ」


「……」


「で、ホテルに泊まるようなこと、店長に話してたから、もしかして珠美ちゃん一人で待ちぼうけなのかなぁとか思って」


(いやいやいや、待て待て。

だったらあんたがその客受けてくれれば良かったじゃん!)


「俺さ、今、珠美ちゃんのいるホテルのスカイラウンジにいるんだけど

ちょっと出てこない?」


(はぁぁぁ!?なんでいんの?どういうこと?)

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