ベストマリアージュ
「そ、そんなんじゃ……」


「言ったろ?可哀想なのは俺じゃなくてあんた

なんにも知らないで可哀想にね?」


「なに言って……」


「今日の最後の飛び込みの客

どうやら、さとしと特別な関係みたいだよ?」


「……え?」


勝ち誇ったように、優也はそう言って笑った。


特別な……関係?


この人何言ってんの?


さとしは彼女は私が初めてみたいな言い方をしてた。


てことは元カノとかそういうんじゃなくて、まさか……


前にさとしの家の前であったあの子みたいな関係ってこと?


そこまで考えて、クックッと笑う優也の声でハッとした。


「ようやく理解したって顔してる」


「……なっ!」


「さとしは珠美ちゃんとの初めての夜より、昔味わった身体を選んだってことだよ」


途端にまた鼻の奥がツンとした。


そんなわけないって、頭ではわかってる。


だけどさとしが昔は身体だけの付き合いをいろんな子としてたことも事実なわけで……


もしそれが閉店間際のお客さんだったとしたら、ただ髪を切るだけで終わらないような気がした。

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