ベストマリアージュ
こんな時間までどこにいたの?


誰といたの?


そう言いたいけど、そう言えないくらいの隠し事が私にはある。


後ろめたいのはお互い様、なんて開き直れればいんだけど……


抱えた膝を見つめながらさとしを避けるように俯いていると、さとしがベッドから降りた気配がした。


チラリと目だけを上にあげると、窓際の椅子に腰かけて外を見てるさとしが見える。


真っ暗な外の景色を……


その横顔は少し疲れてるようにも見えた。


腕時計の針はもうすぐ今日の終わりを指そうとしている。


こんな風に終わっちゃうんだなって、しんみりとさとしの横顔を盗み見ていると、ふいにさとしがこっちを見た。


「飯、ちゃんと食った?」


聞かれて一瞬言葉につまる。


「……うん」


「上のレストラン?それともここ?」


コクンと唾を呑み込む。


これ以上、そこを突っ込まれたら、優也のことがバレそうで怖かった。


だけど、ルームサービスにしたなんて嘘ついても、料金とかですぐわかっちゃうだろう。


だから……


「せっかくだから、上で食べて来たよ?」


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