ベストマリアージュ
「やっぱ今日はやめねぇ?」


「えっ?でも……」


二人で向かい合って座る格好で、さとしはじっと私を見る。


それからはぁ……とまた息を吐き出すと、ごめん……俺がダメだわ、と切なそうな表情を私に向けた。


それって私とは出来ないってこと?


優也と会ってたから?


もう……ダメってこと?


最悪のことが頭によぎって、震えが止まらなくなる。


私、さとしを無くしちゃったの?


「もう……嫌いになったってこと?」


「は?」


「私とは別れるってことなの?」


膝に置いた手をギュッと握りしめる。


もしそうだって言われても、私はそれを受け入れられない。


大地の時みたいに、はいそうですかって納得なんか出来ないと思った。


「私はやだ!さとしと別れたくない!」


ありったけの思いをこめてそう叫びながら、さとしの胸に飛び込む。


うわっ!と反射的にのけ反りながらも、さとしはちゃんと私を受け止めてくれた。


「……ったく、なんでそうなんだよ

誰が別れるっつった?」


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