ベストマリアージュ
「……さとし?

ねぇ、さとしってば」


仰向けになったまま動かなくなったさとしの足を揺すりながら、そう呼び掛ける。


んー?と生返事が返ってくるけど、目は閉じたままだ。


そのうちそれさえ返ってこなくなったと思ったら、スースーと規則正しい寝息が聞こえてきた。


(――えっ?うそでしょ?)


乗り出してさとしを覗きこんでみると、気持ち良さそうに眠ってる。


そっか……


仕事終わってお客さんとお茶飲んだとはいえ、ダッシュで駆けつけてくれたんだもんね?


疲れて当然か。


自然と笑いが込み上げて、妙に可笑しくなる。


そっとさとしの隣に横になると、そのまま寄り添うようにして体を丸めた。


ちょっと寒いけどくっついてる分、さとしの体温を感じる。


「さとし……ごめんね?」


言いながらさとしの首筋に唇を寄せた。


さとしの匂い……


やっぱり一番ここが安心する。


目が覚めたら、ちゃんと言おう。


大好きだよって……


さとしの鼓動が耳に響く。


トクトクトクとリズムを刻む音を聞いてるうちに、いつしか私もさとしと共に眠りに落ちていた。
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