ベストマリアージュ
本当はあんな高い部屋を同じ月に二度もとるなんて痛い出費に決まってるのに、さとしはどうしてもリベンジするといってきかなかった。


だからプレゼントなんかいらないって言いたかったけど、きっとそう言ったところで聞き入れてはくれないだろう。


ホテルの部屋はあくまでもリベンジであって、プレゼントは別だと言われるに決まってる。


「それにしてもクリスマスによく休めたね?

お店、忙しいんじゃないの?」


買ったばかりの一人用のこたつにもそもそ潜り込みながら、何気なくそう言った。


実家に帰ってから初めての冬は、意外に寒いんだと気づく。


マンションは気密性が高いから、真冬でもそこまで寒くなかったのを思い出して、なんだか遠い昔のことみたいに懐かしくなった。


「クリスマスは意外とそうでもない

どっちかっつーと、イブのが忙しいから、気にすんな」


こたつの上で手帳を広げながら、クリスマスの文字を見つめる。


確かに恋人たちはイブを一緒に過ごすんだろうから、綺麗にしてもらいに美容院に足を運ぶのかもしれない。


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