ベストマリアージュ
頭を冷やそうと携帯を肩ではさみながら、こたつを出て窓を開けた。


温まった体に冷たい風が吹き抜けて気持ちがいい。


「……俺が切ってやるから、待ってりゃいいだろ?」


ぶっきらぼうな言い方だけど、暗に自分が切りたいんだと言われてる気がしてキュンとした。


こんなことで顔がにやけちゃうんだから、私もそうとう安上がりな女かもしれない。


だけど恥ずかしい気持ちもあって、素直に喜べないのが私のダメなところだ。


「で、でも、たまにはサプライズで綺麗になったとこ見せたいなぁ……とか」


嬉しいくせに、照れ隠しでそんなことを言ってしまう。


案の定、さとしは一気に不機嫌になって、むっつりと黙り込んだ。


「……」


「……」


どうしよう。怒ってる?


空を見上げると、まあるい月が雲の隙間から見え隠れしてる。


少し寒くなって窓とカーテンを閉めると、こたつに戻って布団を首まで引き上げた。


携帯を持ちかえて、もしもし?と様子を窺ってみる。


「お前の……」


「えっ?」

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