ベストマリアージュ
ひんやりとした感触が、火照った顔を鎮めてくれる。


またうとうとし始めたとき、手に持ったままの携帯が着信を告げた。


ビクッと飛び起きて、誰からなのか確認もせず電話に出てしまう。


「も、もしもし?どうしたの?」


さとしが何か言い忘れたんだろうと思った電話の向こうからの声は、さっきとは違うもので……


「こんばんは、珠美ちゃん」


(ゲッ!出た!疫病神!)


思わずそう口走りそうになって、寸前で呑み込んだ。


「もしかして、さとしだと思った?」


相変わらず馴れ馴れしい物言いに、うんざりしながらも仕方なく返事をする。


「何か用ですか?」


思いっきり迷惑そうにそう言ったのに、優也は気にすることなく有り得ないことを口走る。


「冷たいなぁ、キスした仲なのに」


「ちょっ!変なこと言わないでください!

あれはあなたが勝手に!」


「でも、さとしはどう思うかな?

食事したのは知ってるんだろ?

だったら案外珠美ちゃんも嫌じゃなかったって思ってもおかしくないよね?」


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