ベストマリアージュ
優也の脅すような口振りに、言い返せなくなって黙りこむ。


いつもそうだけど、この人はいったい何をしたいのか全然理解できない。


「クリスマス、さとし店休んでるけど、こないだのリベンジ?」


そう聞かれて戸惑った。


出来ればプライベートなことは優也の耳には入れたくない。


「さとしに聞いたらどうですか?

同じ店なんだし」


少しとげのある言い方をしてしまったかな?とも思ったけど、そうさせてるのはこいつだと開き直ってやった。


「ふぅん……そういうこと言うんだ?

あのあとさとしが俺と口きいてくれないことくらいわかるよね?

わざと言ってんの?」


話題にしないとは思ってたけど、優也のことも遠ざけてるとは思ってなかった。


だって一応、店では先輩なわけだし、お隣同士なわけだし。


でもこの様子だとさとしに避けられてイラついてるっていうのが正しいのかもしれない。


「いえ……それは知らなかった……です」


優也がさとしを好きだって知ってるから、どうしたって同情的になりがちだけど、優也はそれを極端に嫌がる。


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