ベストマリアージュ
「優也にクリスマス休ませるなとでも言われたのかよ?

仕事とか嘘までついて、なんなんだよ!

なんか優也に弱味でも握られてんじゃねぇの?」


言い返す言葉もなかった。


だってその通りなわけで、しかも全部私の不注意が原因だ。


弱ってるところに優しくされて、ホイホイついてったのは私。


おまけに報われない恋をしてるからなんて、上から目線で同情なんかするからこんなことになったんだ。


「こないだ……なんかあったのか?」


どうしよう。ここでまた嘘つくの?


ギッ……とスプリングの軋む音がしてさとしが立ち上がったのがわかる。


俯いたまま言おうか言うまいか迷っていた私を、さとしが正面から思いきり抱き締めた。


「――ッ!」


椅子に座ったままの私は、さとしのお腹あたりにすっぽりとおさまっていて、頭を抱えるようにさとしの腕が交差する。


「言いたくないなら言わなくていい……

お前がそう言うなら仕事に出るよ

だから……こないだと同じ時間にロビーで待ってろ」


それだけ言うと、さとしの体はあっけなく離された。


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