ベストマリアージュ



クリスマスのイルミネーションが、凍えるような寒さを緩和するようにキラキラキラキラ光を放つ。


約束の8時半まであと少し。


仕事だって言ったのは嘘だから、私は一人で手持ちぶさたに昼間の時間を過ごした。


今頃、さとしは仕事してるのかな?なんて思いながら……


あんなことがなければ、今日という日を丸ごと私にくれていたはずなのに、自業自得とはいえ悲しくなる。


それでも早めに家を出た私は、夕方には横浜に着いてさとしへのプレゼントを一人で選んでいた。


本当なら一緒に選ぶはずだったクリスマスプレゼント。


(あんなに嬉しそうだったのに、悪いことしちゃったな……)


濃紺とシルバーの包み紙とリボンをかけたプレゼントを手に、私は小さくため息をついた。


いつも薄着で寒そうにしてるさとしに選んだのは、チャコールグレーのカシミアのショール。


少し値ははったけど、軽くて温かな肌触りが気に入って迷わずそれにした。


いつもモノトーンの配色が多いさとしに似合いそうな気がしたから。


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