ベストマリアージュ
「は?なんだよ、それ」


当然のごとくさとしの眉はつり上がり、眉間には皺が寄る。


「優也に……頼まれたの……

クリスマスにさとしに休まれると困るからって、私も仕事になったことにして夜だけ会うようにしてくれって」


言っちゃった……


ずっと出さなかった優也の名前も、あえて口にした。


ごまかしはもう嫌だったから。


「なんだよ、それ……」


さとしは同じ台詞を繰り返す。


「なんで今、そんなこと言うんだよ」


はあぁ……とため息をついて体を起こしたさとしは、今度は頭を抱えて項垂れてる。


もしかして、知ってた?


もっと怒るかと思ったのに、さとしの口振りじゃそんなこと今言わなくてもいいだろ?みたいなニュアンスに聞こえる。


「だ、だって……こんな気持ちのままじゃ、さとしにも失礼だと思ったから……」


立ったまま、さとしを見下ろしてそう言うと、ふいに手首を掴まれた。


「お前さ、そんなこと今言ったら台無しだろ?

それとも、リベンジさせる気もないわけ?」


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