ベストマリアージュ
(……え?嘘でしょ?)
ようやく意識がハッキリしてきたとき、最初に思ったのがそれだ。
さとしはまだ隣で息を弾ませて寝転がっている。
私もまだ怠さの残る身体をゆっくり起こして、信じられない思いでさとしを見下ろした。
「なんだよ?どうした?」
シーツを体に巻き付けたまま放心状態の私を見て、悪びれた風もなくサラッとそう聞くさとし。
「……出したよね?」
「あ?」
「中で……出したよね?」
そう、あろうことかこの男は、避妊しやがらなかったのだ。
そうなったときに気付かなかった私も私だけど、まさか初めての夜にそんなことするとは思わなくて油断した。
「あぁ……そうだな?」
「そうだなって!ありえないんですけど!」
いくら大地のときは出来なかったからって、相手が違えばどうなるかわからない。
しかも結婚もしてないのに、どういうつもり?
私との初めての夜をあんなに大切に思ってくれてた人と同じ人とは思えない!
優也とのことを正直に話しても、怒らなかったさとしに安心したけど、もしかしたらただしたかっただけ?なんて穿った見方をしてしまう。