ベストマリアージュ
「だ、だって、私、離婚したばっかりだし」


「知ってるけど?

元旦那だってもう結婚してんだろ?」


「そ、それに私、さとしより年上だし」


「いまさらだろ?それ」


「まだ付き合って何ヵ月も経ってないし」


「お前のこといつから知ってると思ってんだよ」


「でも、だって、私、バツイチだし」


言いながら、涙が止まらなくなる。


「それも、いまさらだっつーの」


泣いてんじゃねぇよ、と笑いながら頭を撫でるさとしの手が優しくて、私はようやくそれが冗談じゃなくて本気なんだと認めることが出来た。


「で?返事は?」


もう一度そう確認するように目を覗きこまれて、嬉しいはずなのにまだ不安は拭えない。


「私で……いいの?」


涙はまだ止まらないまま、私もまた確認するように問いかけた。


「珠美が、いいんだよ

俺が何年片想いしてたと思ってんだ、バカ」


ふいっと顔を背けたさとしに驚きを隠せない。


え?なんか今、すごいこと言われた気がするんですけど……


「片想い?さとしが?」


思わず聞き返すと、うるせぇ!と顔を赤くして後ろを向いてしまった。

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