ベストマリアージュ
なんだか嬉しくて、ヘヘッと笑いながらまたさとしにくっついた。


「なんだよ、気持ち悪ぃな?」


「えー?なんかさ、さとしったらそんなに私のこと好きだったんだなぁと思って」


背中にすりすりしながらそう言ったのに、さとしは急に私を振りほどいて立ち上がった。


「は?お前、馬鹿じゃねぇの?

そっちが俺のこと好きなんだろ?

優也にやきもち妬いたくせに!」


「またまたぁ、照れなくてもいいってば」


ニヤニヤしながら見上げると、ベッドから下りていたさとしがものすごい顔で睨んでくる。


少しだけ怯んでシーツを鼻まで引き上げると、チッと舌打ちをしてソファーに放り投げたままになっていたプレゼントの箱を拾い上げた。


包み紙とリボンを丁寧に剥がすと、中身を取り出す。


「いいじゃん、これ

サンキュー」


嬉しそうに首もとに巻き付けたさとしが、なんだかすごく可愛く見えて、幼い頃とオーバーラップした。


あぁ、昔から変わってない。


変わったと思ったのは見た目だけで、中身は昔のままなのかもしれないと思いながら、わざと憎まれ口を叩く。


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