ベストマリアージュ



「それでは新郎新婦のご入場です!

皆様、拍手でお迎えください!」


一斉に拍手の音がして、誰が選んだのかよくあるウェディングソングが流れる。


開いた扉からは、緊張気味の新郎と、恥ずかしそうに頬を染める新婦が現れた。


(あ~あ、顔ひきつってるよ)


プッと吹き出しながら、カメラを片手に立ち上がる。


同じテーブルの髭の店長が、よろしくと俺にひらひら手を振った。


まったく損な役回りだ。


何が悲しくて失恋した相手の結婚式でカメラマンなんかやんなきゃなんないんだか。


やる気はないけど、とりあえず新郎新婦にカメラを向けてファインダーを覗きこんだ。


その先にある被写体を見つめていると、思わず笑いが込み上げる。


(あ~あ、せっかく面白かったのに……)


まさかこんな反撃を食らうとはね?


相変わらずひきつった笑顔の新郎に焦点を合わせると、目一杯ズームしてシャッターを切った。


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