ベストマリアージュ
欲求不満だっていうからキスしてやったら驚いてたけど、俺に同情したような目を見せてた。


お人好しで真っ直ぐな彼女に、正直ムカついた。


だから壊してやろうと思ったんだ。


本気でさとしが好きなら、向かってこいってくらいの気持ちで。


(途中まではうまく言ってたのになぁ)


絶好のチャンスはふいに訪れた。


彼女の誕生日にホテルを予約したって聞いたのは、店長からだったか?


早めに上がるつもりなんだと思ってたのに、飛び込みの客を受けてるさとしにチャンスだと思った。


たまたまさとしのスマホに残っていた着信から彼女の番号を手に入れて、店長からそれとなくどこのホテルなのかを聞いていたから、それはわりと容易くて。


俺の思惑通り彼女をレストランに誘い出すことに成功したっけ。


(あれは面白かったなぁ……)



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