ベストマリアージュ
目の前にはフランス料理のフルコース。


よくある結婚式のパターンだ。


前菜を口に運びながら、ホテルのレストランでのコース料理とシャンパンを思い出した。


目の前の美味しいものに嘘つけない彼女が面白くて、あまり酒が強くないというのに結構飲ませたっけ。


あのときにはもう彼女が気になってたのかもしれない。


(まさかミイラ取りがミイラになるとはね?)


ため息をつきながらチラリと彼女を見ると、幸せそうに笑ってる。


少しぽってりとした唇が、あのときのキスを思い出させた。


困らせて泣かせて壊してやろうと思ったのに、意外と根性があってドキッとした。


今までの女なら、すぐ落ちそうなもんなのに、彼女は頑なに同情から恋には変わらない。


(ま、俺を見て赤くなってたのは確かだけど……)


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