ベストマリアージュ
「で?なにこれ?」


呆然としている私にさとしがそう言った。さっきとは全然違う、いつもの口調で。


「う、うちのお母さんが、今日あんたのご飯作れって……言うから」


「まじ?ったく、うちのおふくろなんも言ってなかったぞ?

なんっだよ、知ってたら理央を呼ばなくてすんだのに……面倒くせぇ」


さとしはガックリうなだれながら、忌々しげにそう吐き捨てた。


「さっきの……彼女じゃないの?」


「あぁ?彼女じゃねぇよ」


即答したさとしは、そのあと怪しい笑みを浮かべて私の顔を覗きこむ。


「あいつは、セ·フ·レ

ちょうど親もいないし、ついでに飯作ってもらおうと思って呼んだんだけどさ

向こうも割りきってると思ってたのに、急に彼女面しやがって

もう終わり、だな?」


頭を掻きながら、有り得ないことを口走るお隣の息子は、私が困るのを見て喜んでる。


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