ベストマリアージュ
セフレ……って何よ!私なんてもう半年以上ご無沙汰だって言うのに!……って、えっ?違う違うそうじゃなくて!


「ガキのくせに、ずいぶんお盛んだこと」


そう皮肉を言うのが精一杯だった。


「ま、とりあえず上がれよ?」


焦る私をよそに、さとしはとっとと廊下の向こうに引っ込んでしまった。


食材の入った袋も一緒に……


うっ……仕方ない、上がるか。


「おじゃま……しまぁす」


そろそろと廊下を進んだ左手にリビングがある。


小さい頃はよく遊びにきたけれど、大人になってからは久しぶりだ。


そっと覗くと、カレーの匂いが鼻を掠める。


ふぅん、そっか。あの子、カレー作ってったのね?


見ると、さとしが食材を冷蔵庫に入れてるとこだった。


「ねぇ、ご飯あるみたいだし、あたし帰るね?」


作る必要がなくなったのだから、私の役目はない。



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