ベストマリアージュ
「なんで?一緒に食ってきゃいいじゃん。どうせ家に帰ってもなんもないんだろ?」


「うん……まあ、そうだけど……作ればいいことだし」


私に背を向けて冷蔵庫に食材を入れながら話していたさとしが、私の言葉を聞いて怪訝そうに振り向いた。


「なに?俺と食うのやなの?」


「や、別にそういうわけじゃ……」


「じゃあ、いいじゃん。俺一人でこんなに食えねぇし」


「……わかった」


もともとご飯作りに来て、自分も一緒に食べるつもりだったから、家に何にもないのは確かだ。


私はあきらめて、食事の用意をすることにする。


「お皿、これでいい?」


食器棚から、カレー皿を取り出してそう聞くと、さとしはチラッとこちらに目をやって、あぁと短く返事をした。


二人分の皿にご飯とルーをよそっていると、不思議な気分になる。


大地と暮らしてた頃のことを思い出して泣きそうになった。


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