ベストマリアージュ
「珠美、ちゃんとお手入れしてる?肌、ボロボロ」


スッと伸びてきた指が、私の頬をそっと撫でる。


ピクッと体が震えた。


彼の指に反応したことを悟られたくなくて、私は思いきりその手をはねのける。


「うるさい!あんたに関係ないでしょ?」


もっと怒るかと思ったのに、彼は余裕の笑みで、そんな私を見ていた。


「ちゃんとセックスしてる?そういうのないと、お肌にも潤いなくなっちゃうよ?」


「なっ……!」


顔が一気に紅潮するのがわかった。


絶対からかってる。


そうだった、こいつはそういうやつだ。


前言撤回!いい顔とかなしなし!あり得ない!


私は目の前のカレーライスをガツガツと口に運ぶと、あっという間に平らげた。


それからおもむろに立ち上がり、彼に向かって言った。


「じゃあ、ごちそうさまでした。さよなら!」


さとしの顔も見ず、逃げるように部屋をあとにする。


後ろでクスクス笑う声が聞こえて、私は家にあがったことを、心底後悔した。


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