ベストマリアージュ
先日、私宛に手紙が届いた。


それは大地からのもので、あの彼女と結婚するという報告だった。


律儀すぎるのは大地のいいとこでもあり、悪いところでもある。


この場合は間違いなく後者だろう。


もちろん、自分と離婚した時点で、あの女性と結婚するかもしれないとは思ってた。


思ってたけど……こんな風に報告されて事実を叩きつけられたら、もう自分には万にひとつの可能性もないんだと思い知らされる。


せっかく綺麗になったって、もう大地が戻ることはないんだと諦めかけた。


だけどもし、どこかで偶然出逢うことがあったとしたら、どうせなら惜しいことをしたと思わせたい。


やっぱり離婚して良かったなんて思われたくはなかったから。


自分にそう言い聞かせながら、脂肪を落とすべく必死に家までの道のりを走る。


ようやく家の前についた時、隣の家の2階の部屋の窓が開いてるのが見えた。


さとしの部屋だ。時間的にちょうど起きたところかもしれない。


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