ベストマリアージュ
「あのなぁ!おっ前、俺が休みのたんびに来んじゃねぇよ!」
お決まりのセリフに怯むことなく、私はさとしの部屋にある大きな鏡の前を陣取っていた。
目的は一つ。
さとしにメイクを教わるためだ。
「しかも、こんな朝っぱらから来やがって!
お前、バカだろ?」
いくら罵声を浴びせられようとも、一向に気にならない。
何故ならそう言いながら、最後は必ず付き合ってくれることを知ってるからだ。
髪の毛も可愛くしてくれたし、洋服も真剣に選んでくれて、さとしのおかげでだいぶマシになったことは感謝してる。
意外だったのは、チャラいあいつなら、ギャルみたいな服を選ぶんじゃないかって心配してたのに、割とナチュラル系のものを選んだことだ。
着やすくて馴染みもよく、おまけに若く見える。
だけど子供っぽくならない絶妙のバランスに、ちょっとだけ見直したっけ。
今日も選んでもらった服を着て、朝の9時から叩き起こした。