ベストマリアージュ
「息、ちゃんとしろよ?」


今度はそう言い捨てて、また私の顔を見つめる。


それからさっきの続きを終えると、少し離れて自分の作品を見つめた。


「うん、上出来」


言いながらリップケースをパチンとしまって、片付けを始める。


「出来上がり?」


「あぁ、……あ?

また俺が全部やっちゃったじゃねぇか!

ちゃんと見てただろうな!」


いまさら、さとしに見とれてたとは言えず、私は慌てて答えた。


「あ、あぁ……うん!

たぶん?」


「たぶんてなんだよ!

もう知らねぇからな!」


だよね?うん、わかってる


「じゃ、じゃあ今度は自分でしてくるから、出来てるか見てもらうだけでも……」


これ以上はやはり申し訳ない気がして、私はそう譲歩する。


さとしは案の定、チッと舌打ちをしたけれど、それでも、見るだけだぞ!とそれをしぶしぶ了承してくれた。


ここ何ヵ月かで、もうわかってる。


基本は優しいってことを……


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