ベストマリアージュ
驚いて目を開けると、そこにはさとしの顔。


――え?なに……これ?


私……キス……されてる?


慌てて両の手でさとしの胸を叩くと、その手をグッと掴まれて、もっと深く口付けられる。


「ん……ふ……」


変な声が漏れて、頭の中はパニックだった。


さとしの舌が、私の舌を絡めとる。


痺れるような快感が私を支配した。


こんなキス……知らない……


ガクンと体の力が抜けていく。


さとしの唇が離れていったとき、私はすっかり骨抜きにされていた。


「どうだった?俺のキス

気持ちよかったろ?

ふ……珠美、顔、真っ赤」


ずるいよ、このタイミングで、名前を呼ぶなんて……


散々、お前だの馬鹿だの言ってたくせに、あんなに甘いキスした後に、名前で呼ばれたら……ドキッとしてしまう。


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