ベストマリアージュ
横たわった私の頬にスッとさとしの手が触れる。


そのまま手が滑るように鎖骨をなぞった。


ピクンと体が反応すれば、さとしは私の耳元に顔を寄せてそっと囁く。


「感度はいいみたいだな?」


そう言われて急に恥ずかしくなった私は、両手を胸の前に交差させて、くるりとさとしに背を向けた。


「なんだよ、まだ何にもしてねぇだろ?」


私は黙ったまま、首を横に振る。


「あいつの一番になるんだろ?」


さとしの言葉が胸に突き刺さった。


そうだけど、そのために違う人とこういうことをするのが、いいのかどうかわからない。


「……っ!」


背を向けた私の太ももを擦るように、さとしの手がスカートの中に侵入してきた。


「やっ……」


必死にそれを押さえるけれど、その手はどんどん上へとあがってくる。


「やだ!やめ……んん」


抵抗してそう叫んだ私の唇を、さとしは手を止めることなく、自分の唇で塞いだ。


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