ベストマリアージュ
また泣きそうになるのを堪えて、私は足早にさとしの部屋を出た。


玄関を開けて外に出ても、さとしのいる気配はなくて……


本当にどこかに出掛けていったんだと、会わなくて済んだことにホッとする。


もう、ここにはこれないな……


たくさん怒鳴られたり、からかわれたりしたけれど、不思議と嫌じゃなかった。


それどころかさとしといることが楽しくて、だからわざと押し掛けてたのかもしれない。


でもそれももう終わりだ。


これからどんな顔して会っていいかもわからない。


それに……大地とのことをきちんとしなきゃ、私自身も前に進めないと思った。


そろそろ潮時だ。


自分の気持ちを知るためにも、大地に会うべきなんだろう。


そう心に決めて、私は隣にある自分の家へと歩を進めた。



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