ベストマリアージュ



あれから……さとしには会っていない。


以前は偶然会ったりもしていたのに、今では全く会うことはなかった。


それがわざと避けられてるのかどうかは、私にもわからない。


あのとき、大地に会いに行こうと決心した私は、その日のうちに連絡をした。


久しぶりにかけた番号は、まだ変わらずにいて……


拒否されていないってことが嬉しかった。


いくら離婚の条件だといっても、もうあれから一年が経っている。


私が諦めたかもしれないと思っていたとしてもおかしくないからだ。


鞄から便箋を取り出す。


そこにはかつて離婚の条件として掲げたものが、ひっそりと小さな字で書かれていた。


その一番下には、大地のサインと捺印。


これがある限り、私との約束を破ることは出来ない。


会って話して食事して……


あるいは体の関係を持つことさえ許されてる。


さとしに教えてもらった唯一のキスの仕方。


やるなら今日だと思っていた。


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