ベストマリアージュ
女性側が出来ること……


あの日、さとしに教えてもらい損ねた、いろいろなことは、とりあえずネットで調べてみたりした。


あまりのことに絶句したけれど、大地が好きなら、それさえも愛しく思えるのかもしれないと、暗示をかける。


久しぶりに聞いた大地の声。


会いたいと一言だけ言った私に、わかったと彼も一言で返した。


待ち合わせ場所を指定したのは、私。


帝国ホテルのカフェラウンジに3時。


二人とも宝塚が好きで、それをきっかけに付き合い始めたのを覚えてる。


この店には、よくその帰りにお茶をしに来てたっけ。


先に席に通されて、大地を待つ。


一年ぶりに会う大地は、どんな風だろう?


変わってはいないだろうか?


頑張った私に綺麗になったと言ってくれるだろうか?


いろんな一年分の思いが、あとからあとから溢れてくる。


頼んだ紅茶を飲みながら、入口の方を見つめていると、懐かしい顔がひょいと覗いた。


――大地だ!


……変わってない。


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