ベストマリアージュ
自分が必死に築き上げてきたものが、ガラガラと崩れ落ちていく瞬間。


暗に俺はもう結婚してるんだぞと、バリアを張られたような気分だ。


私のことなんか、もう見てもくれないんだろうか?


離婚したあの日から、私はずいぶん痩せたんだよ?


それに化粧だって髪型だって、大地の知ってる私のものではないはずだ。


すがるような思いで、私は大地を見つめる。


それからゆっくりと口を開いた。


「……届いたよ?
ちゃんと……読んだ」


大地から目をそらすことなくそう言えば、彼はホッとしたように、小さく息を吐いた。


それがどんな意味なのか、私にはわからない。


「だったら……わかるよね?」


――何……を?何がわかるって言うの?


再婚したから、もうこういうことは止めてくれって?


それともお祝いの言葉でもまってるの?


無神経な大地の言葉に、悲しみと怒りがごちゃ混ぜになって私を襲う。


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