ベストマリアージュ
嫌われたくない一心と、綺麗になれば、もう一度振り向いてくれると思ったから……


こんなことになるなら、離婚なんかしなければ良かった。


嫌われても、一人だけ幸せになんかさせたくなかったのに……


私はさっきの便箋をスッと彼の前に差し出した。


彼はそれを手に取ることなくジッと見つめながら、黙りこんでしまう。


やがて便箋から目を離して、ゆっくりと顔をあげ私を見た。


「……こんなことして……何になる?」


何になるかなんて、大地に言われたくない。


私は私を納得させたいだけだ。


あの時みたいな怠惰な体じゃなく、今の綺麗になった自分でも叶わないのかどうか……


あの可愛い彼女と同じ土俵に立った上で、もう一度選んでほしい。


少しでも私に悪いと思うなら、そのくらいしてくれたって罰は当たらないと思う。


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