【完】999本のバラを君に。
「俺、真優に出会えてよかった」
……神様、もしいるのなら、どうか願いを叶えてください。
「真優」
そっと、あたしの頬に手を添える翔太。
優しく手、温かくて、大きな手。
あたしは、そっと目を閉じる。
唇がそっと触れた瞬間、グラウンドの方から生徒達の歓声が聞こえてきた。
きっと、点火式が上手くいったんだろう。
唇が離れれば、2人とも自然と笑顔になって。
神様、どうか……
この幸せなときを、奪わないでください。
この笑顔を、奪わないで。
それが叶うのなら、他になにもいらないから……。