【完】999本のバラを君に。
お昼休みの時間になって、いつも通り翔太がクラスに入ってきた。
「まひろ〜」
「あ、翔太!」
あたしが席から立ち上がると、隣に座っていた相原君も立ち上がって翔太の方へと歩み寄った。
「久しぶり、兄貴」
「悠太……お前、なんで……」
……あぁ、やっぱり。
2人の会話と、翔太の表情を見て、悟った。
悠太君は、きっと……翔太の弟。
「兄貴、親父カンカンだよ?」
「電話全部無視してるからな」
「その理由は、あの女の子?」
悠太君の視線はあたしの方へと向けられる。
「ちげーよ、ばーか。行くぞ、真優」
「あ……っ」
翔太はあたしの手首を引っ張って、歩き出した。
あたしの手首を握ってる翔太の手は、いつもよりずっと冷たくて、力強くて。
翔太……?