【完】999本のバラを君に。
放課後になると、すぐに翔太があたしの元へと走ってきた。
「しょ、翔太?!」
「帰るぞ」
「あ、う、うん……」
翔太は、あたしの手首を強く握って走り出す。
あたしは、引かれるまま走った。
走った先は、桜の木。
「しょ、翔太……?」
「わり、痛かったよな……?」
「あ、ううん、平気……」
「ごめんな」
そっと、あたしの頭に手を置く翔太。
その時、少し、距離を離された気がした。
あたしは、グッと唇を噛み締めて。
「あ、あのね……」
「ん?」
「その、悠太君と体育祭実行委員、やることになったよ……」
あたしがそう言った瞬間、翔太は今までに見たことないくらい悲しい顔を見せた。
そして、その顔を見た瞬間、
言わなければよかった、と後悔した。