【完】999本のバラを君に。
「なんか言ったらどうなの?」
なにも言わないあたしに、向こう側はイライラする一方。
でも……何も、言えない。
言い返せない。
「あんたねぇっ」
相手がキレた時、あたしの頭の上に、誰かの腕が置かれた。
「オネーさん達、なあにやってんの」
「ゆ、悠太君……。い、いや、これは……」
「兄貴の元カノだからさ、意地悪はやめてあげてよ。兄貴も、いい気分はしないんじゃない?」
「……い、行こ」
女の子達は、駆け足で教室に戻っていった。
「大丈夫ですか、お嬢さん」
「うん……ありがと」
「……よくお礼言えんね。俺の言葉、嫌みのつもりなんだけど?」
“兄貴の元カノ”
「……うん、ありがと」
あたしの言葉に、悠太君は呆れたようにため息をこぼす。