【完】999本のバラを君に。
「悠太君は、優しいよ。だって、あたしを苦しめないために、翔太を行かせたんだよね。行かなかったら、お父さんが何するかわからないから。誰かに悲しんで欲しくないから、ああやって自分が悪者になったんでしょ?」
今なら、全部わかる。
悠太君の優しさ。
自分が悪者になってでも、翔太をお父さんのところに行かせた。
誰かに悲しんで欲しくないから。
それが、自分のお兄さんの好きな人だから。
「……ほんと、真優ちゃんには敵わないな」
悠太君は、起き上がって、あたしをゆっくり起こし、ギュッと抱きしめる。
「真優ちゃん、俺を見てよ」
「え? 何、言ってんの? 悠太君は、悠太君だよ?」
「俺もさ、わかるよ。
真優ちゃんが、俺を兄貴と重ねてることぐらい」