【完】999本のバラを君に。
悠太君の言葉に、あたしは目を丸くする。
「そ、そんなわけないじゃん! ね、ほら、映画、つづき……」
「真優ちゃん、今の日常楽しい?」
悠太君は、あたしをゆっくり離した。
「何言ってんの? 楽しいに、決まってんじゃ……」
そして、あたしの瞳から涙が溢れ出した。
「みんな気づいてるよ。真優ちゃんが、作り笑いしてんの。
みんな、知ってる。……真優ちゃんが、誰よりも寂しいのを」
いつも通りの毎日。
いつも通りの朝に、いつも通りの梨華との会話。
それでも、どうしても……心のどこかで、思っていた。
翔太がいたらもっと楽しいだろうな、って。