【完】999本のバラを君に。
「……ほんと、兄貴には敵わないよ」
悠太君はそう言って、ギュッとあたしを抱きしめる。
その時の、悠太くんの温もりが、とても温かくて。
さらに涙が溢れ出した。
「真優ちゃん、俺を見て。兄貴と重ねないで、俺を見てよ」
「悠太、くん……?」
あたしは、少し悠太君から離れて、悠太君を真っすぐ見る。
悠太君も、あたしを真っすぐ見て言った。
「兄貴のこと、忘れろなんて言わない。
俺と、つき合ってよ」