【完】999本のバラを君に。
朝のHRが終われば、染谷さんはすっかり囲まれていた。
「あの子可愛いよねー」
梨華がそう言いながら、チューっと林檎ジュースを吸っている。
「うん」
「でも、染谷って、かなりのお嬢様じゃない?」
「? そうなの?」
「有名じゃん? 『染谷ホテル』とか」
あ……。
言われると、よく広告とかくるかも。
「相原も相当な坊ちゃんだけどさー」
そういえば……。
さっき、悠太君舌打ちしてたけど……もしかして、知り合いなのかな。
チラリと、隣を見るけど、悠太君の姿はどこにもない。